今回は、五輪四連覇を達成し、国民栄誉賞を受賞した伊調馨選手が、日本レスリング協会の栄和人強化本部長から“パワハラ”を受けていたとされる騒動に注目してみます。
騒動の発端は、現在伊調選手のコーチを務める田南部力氏が、栄本部長から“パワハラ”を受け、それが東京五輪を目指す伊調選手に悪影響を及ぼしていると内閣府へ告発したことから始まった。
誰もが驚かされたが、渦中の伊調選手と田南部コーチ、栄本部長、この3人の相性(パワーバランス)をみると、今回の騒動の真相が見えてくる。
伊調選手の宿は「尾宿」。27宿きっての「大将星」だけあり、五輪四連覇の偉業が果たせたのだろう。そして田南部氏の宿は「星宿」。
この宿は、努力と忍耐の末に大輪の花を咲かす晩成型の星。最後に、女子レスリング界を世界のトップレベルに引き上げた、栄和人氏の宿は「畢宿」。気力と体力、集中力ともに27宿を代表する「エキスパートの星」。
宿だけを見ても、各自が残した業績は宿の本質をそのまま言い当てているだろう。
今回の騒動に、3人の宿の相性がどのように関係しているのだろう。そこで驚くのは、伊調選手と田南部コーチの相性が、お互いに言葉を交わさなくとも意思が通じ合える、『生まれ変わり』とされる「業と胎」の関係にあることだ。「尾宿」から見た「星宿」は「胎の相手」、逆に「星宿」から見た「尾宿」は「業の相手」にあたる。
この相性では、「星宿」が「尾宿」をリードしながら、双方の「立場と役割」が守られる関係であるため、田南部氏と伊調選手との「立場と役割」は正常に機能している。
ところが「尾宿」・「星宿」と、栄氏の「畢宿」との相性が「安と壊」の関係にあることが、騒動の原因と言える。「尾・星宿」にとっての「畢宿」は、安全で安心な「安の相手」であり、逆に「畢宿」にとっての「尾・星宿」は「壊の相手」……つまり、「自分を壊す相手」であることが問題となる。このため、栄氏の意思は時間とともに、伊調、田南部両氏に通じなくなると同時に、二人は栄氏かの命令や指示に反発するようになる。
初めのうちは、お互いの思考と価値観が正反対である分、刺激されて意気投合するものの、次第に違和感を覚えるようになって、最後は決裂する相性とされている。
まさに、今回の騒動を象徴する相性だと言えるだろう。