前回に引き続き、北朝鮮の指導者・金正恩(心宿)氏にスポットを当ててお話しよう。
世界各国の歴代リーダーの宿を見ると、大変複雑な内面を持つ「心宿」が、国のリーダーに就いた例は少ない。米国の歴代(45代)大統領の中に4名存在するが、20世紀に入ってから就任したのは2名。また日本の歴代総理大臣(全98代)の場合は、唯一、鳩山由紀夫氏がいるだけである。
そもそも「心宿」は、『人前で見せる顔』と『独りになった時の顔』の2つの顔を持ち、相手に自分を合わせることを得意とするため、自分から組織を統率することを好まない傾向がある。むしろ、自身の価値観と野心のために切磋琢磨する「個人志向」の持ち主であるため、特化した分野で真価を発揮する人が多い。日本の芸能界を代表する「心宿」は、渥美清や阿部寛、瑛太、菅野美穂、はるな愛といった個性的な人が揃っている。
どんな相手にも「好かれる自分」を、無意識の中で演じられる「心宿」。しかし、表面の明るさとは別に、内面には常に孤独感や猜疑心を抱えており、その葛藤から逃れようと激しい感情を爆発させることがある。
歴史に名を残した「心宿」の独裁者は、これまで調べたところ2名いる。一人は、ソヴィエト連邦の最高指導者とされたスターリン、そしてもう一人は、奇しくも金正恩氏の父・金正日総書記だ。自身が敷いた政治路線に合わない者を次々に粛清した行為は、まさに「心宿」の内面に秘めた「猜疑心」が行わせたのだろう。
「心宿」の複雑な内面をしっかりと理解できるのは、自分と同じ「心宿」、「生まれ変わり」の関係にあたる「業・胎」の「奎宿」「柳宿」、そして「栄」にあたる「尾宿」「婁宿」と、「親」にあたる「星宿」「房宿」「壁宿」「鬼宿」の9宿である。
そこで、金正恩氏と過去の北朝鮮最高指導者との「因果関係」を見ると、そこには特別なつながりがあることが分かる。
そこで気になるのが、金正恩氏の妻の宿だ。3代目で宿曜が途切れたかのように、「心宿」を潰す「亢宿」が指導者の妻の座に就いたことだ。これまで「命・業・胎」と「栄・親」の因果にこだわり、指導者の座を継承して来た金一族であるが、そこに「安と壊」の因果を加えたことで、一族はもとより国家の体制にも「負の因果」が生じることを正恩氏は気づいていないのだろう。
負の因果は、時間とともに作用を始めるものである。虚偽と矛盾を許さない「亢宿」の妻が、「心宿」の2つの顔をどのように受け止めるか? そこで生ずる摩擦が夫を孤独へと追いやった時、夫は『独裁者の道』を突き進むことになるだろう。
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これはかなり興味深いです。