平昌五輪を機に、韓国と対話外交に転じた、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長。3月下旬には中国を電撃訪問し、その模様は大々的に報じられた。さらに米国のトランプ大統領との会談も予定されていると報道されているが、実現するだろうか。
金正恩の宿は、別名「役者星」と呼ばれる「心宿」だ。この宿は、その名の通り「相手の心を読む能力」に優れ、会話や態度を相手が好むように、その場で瞬時に変えることができる。しかも優れた会話力と、人懐こい仕草が相手の心を掴み、自分のペースを作り上げることが得意とされている。
しかし、この宿の内面は、自分でもコントロールできないほどの複雑さを抱えており、人前に出た時と独りでいる時のキャラクターは別人だ。感情の起伏は激しく、猜疑心と嫉妬心が旺盛。さらに、他者に決して本心を明かさない「秘密主義者」でもあるため、「心宿」と関係を築くには相性が特に重要だとされている。つまり、相手の望む会話や態度で身を固めた「心宿」との対話は、相性次第で内容の受け止め方が変わるため、「言ってることが違う!」と思われる点が最大の弱点でもある。
因みに、「心宿」の政治家と言えば、故民主党代表の鳩山由紀夫氏を思い出すが、沖縄の米軍基地をめぐって発言した「最低でも県外」と言う言葉は、ある意味で、内面に複雑さを抱えた「心宿」特有の言い回しだと言えるだろう。
各国代表者の宿は、次の通りだ。安倍首相の宿は「張宿」、トランプ大統領は「箕宿」、韓国のムン大統領は「觜宿」、そして中国の習総書記は「星宿」となっている。
尚、代表者それぞれの宿の間に生じた「力関係」については、別の記事で書かせていただくとして、ここでは金正恩が、相手の話に耳が傾けられ、且つ、本心を語ることのできる相手がいるかどうかを探ってみよう。
図をご覧いただければお分かりの通り、金委員長と習総書記は『最高の相性』とされる「栄と親」の関係にある。また、安倍首相とトランプ大統領とは「友と衰」の関係にあることから、表面的な話はできても、北朝鮮の非核化や拉致被害者の問題の核心に迫ることは難しいだろう。そして韓国のムン大統領とは、具体的な目的を絞ることで、双方気持ちを分かり合うことができそうだ。
とは言え、この5人の間に生じた因果を見ても、習近平は3人の代表者と「栄と親」の関係にあることに驚かされる。つまり、複雑な内面を抱えた「心宿」の金正恩を動かせるのは、中国の習総書記しかいないだろう。今後の「中朝外交」から、どうやら目が離せない。