日本のアニメーション界を永きに渡って牽引してきた高畑勲さんが、4月5日に82年間の生涯を閉じた。高畑さんが残した名作は数知れず、タイトルを聞けば誰もが一度は観たことのある作品ばかりだろう。またアニメ作品とは別に、高畑さんの偉業は、アニメーターの宮崎駿氏の才能を見出し、監督として世に送り出したことである。
今回は、高畑氏とともに“スタジオジブリ”を創設し、日本のアニメーションを世界に認めさせた宮崎駿氏、プロデューサーの鈴木敏夫氏、この3名の間に生じた因果についてお話しよう。
バランスのとれた「最強トのライアングル」!
アニメーションや映画など、「モノ作り」に大切なのは、優れた人材が適材適所に配置され、それぞれが自分の「立場と役割」を全うすることだ。そのためにも自分はもちろん、相手の才能や能力を見極め、仕事を推進するリーダー間の意思疎通が十分に図れなければならない。その点から見ても、今回取り上げた3氏の宿の「立場と役割」、また3者間に生じた因果のバランスは見事だと言える。
高畑氏の「箕宿」とは?
「箕宿」は、自らの理想と正義に向かって、脇目も触れずに猪突猛進する「大将星」。性格として少々荒っぽい面はあるものの、義理と人情に厚く、面倒見の良い親分肌とされている。箕宿は、資金面やスタッフを統括するプロデューサーよりも、自身の感性が活かせる脚本・演出に向いている宿だ。高畑氏の生き様には、生涯を通して働き続ける箕宿の特徴を見ることができる。
宮崎氏の「昴宿」とは?
「昴宿」は、別名「美の聖人」とも呼ばれ、仕事はもちろん、自身の生き様にも美を追求する宿だ。風貌とともに、言葉や振る舞いも気品が溢れ、どこか貴公子的な雰囲気を醸し出すため、周囲や目上からの引立てを受けてトップの座に就く宿だとされている。剛と柔を併せ持つ「昴宿」は、善き理解者と協力者に恵まれると、大輪の花を咲かすことができるとされている。
鈴木氏の「室宿」とは?
「室宿」は、経歴や家柄などに関係なく、実力一つで頂点まで上り詰める豪快な宿だ。理想の高い目的も、大勢の人を集めて達成させる、まさにプロデューサーの資質を備えた宿だと言える。何事にもスケールの大きさを好み、持ち前の審美眼によって作り出された物(作品)は、誰もが驚く美しさを備えている。
3人の宿は適材適所の職責に配置され、相性も「栄と親」、「危と成」と言う、お互いが切磋琢磨して「最高のゴール」が目指せる組み合わせにあることが分かる。まさに、3人によって作り出された数々の名作は、各自の宿に与えられた才能、能力、そして相性の賜物と言えるだろう。